インテック コミュニケーションズという会社のサービスにTri-Pというものがありました。
これは、パソコン通信の時代に、遠隔地へのアクセスを安くするというものです。
なぜこのようなサービスが必要であったのか §
1980年代のパソコン通信は、通常のアナログ電話回線を使い、モデムでダイヤルアップします。つまり、電話料金が発生します。定額制、などというものは当時存在しません。接続先が、市内料金で接続できるエリアにあればそこそこの金額で済みますが、遠隔地にあると真っ青になるような電話料金が請求されます。大手のパソコン通信ホストは、全国各地にアクセスポイントを設置することでこれに対処していましたが、中小規模、あるいは個人レベルで運営する草の根ホストがそのようなインフラを整備することができるはずもありません。
そこで価値を持つのが、このTri-Pのようなサービスです。
原理は簡単です。遠隔地のホストに接続したい場合、近くのTri-Pのアクセスポイントにダイヤルアップします。通信内容はTri-Pの専用線を経由して目的のホストの近くまで伝えられ、そこから電話回線を経由して相手先のホストに接続します。
これにより、たとえば室蘭に設置された草の根パソコン通信ホストが、東京の利用者を持つことが現実的に可能であったわけです。
しかし、Tri-Pに契約した真の理由は…… §
というわけで、私もTri-Pに契約していましたが、その理由は上記のような事情とは全く違うものでした。
当時、多く使っていたホストは日経MIXやPC-VANでした。日経MIXの方はすぐ接続でき、実効通信速度も速く、何の問題もありませんでした。(アクセスポイントが少ない問題はありましたが、個人的には問題が無かった)。それに対して、PC-VANの方はなかなかつながらず何回もリダイヤルを要求されたり、つながっても実効通信速度が遅いという問題がありました。2400bpsで接続しても、1200bpsぐらいの速度しか出ないのです。もっとも、1200bpsで接続するともっと遅いので、2400bpsで接続する価値はありましたが。
そのような状況で、ある事実が明らかになりました。
Tri-P経由で接続すると、PC-VANが速い!
どういう理由か分かりませんが、確かに直接ダイヤルアップするよりもはるかに高速なのです!
高速さは快適さにつながります。
また、高速さ故に接続時間が減れば、Tri-Pの料金を払ってすら、安上がりになる可能性もあり得ます。
まさに、PC-VANを究極的に改善する裏技、という感じで重宝しました。
もっとも、しばらくして、同程度の速度に落ちてしまい、メリットは薄れましたが……。
契約を継続した理由…… §
そのあと、実際に使う機会は多くないものの、遠隔地へのアクセスなどで使うことがあるので、Tri-Pの契約は継続されていました。さほど大きくない料金は楽々払えましたので。
しかし、インターネット時代に入ると、もう利用価値がほとんど無いのは明らかでした。さほど大きくない金額とはいえ、貧乏が進むと、無駄遣いは切りたくなります。
ところが!
ここに大きな問題が!
契約の書類などが見付からないのです。人生の節目を何回か経験するうちに、どこかに紛れ込んでしまったか、最悪廃棄されてしまった可能性があります。
インターネットで検索しても、連絡先が出てきません。
これは、機会を見て根性を入れて部屋を探索するしかない!
そのように覚悟を決めました。
しかし、なかなか機会は巡ってきません。
そのままずるずると2004年12月の現在まで来てしまいました。
発見! そして落胆 §
ところが、ある日、インターネット上で"Tri-P"の文字が検索可能であることを発見しました。
発見したのはこのページです。
このサイトの問い合わせ先から問い合わせれば、解約方法が分かるはずです。
よし、仕事が一段落したら問い合わせをフォームにそれを書き込んで送ってやろう……。
そう思ってからしばらく後。
そろそろやるかな、と思っていると。
株式会社インテックを差出人とする封書が1通届きました。
何だろうと思って見ると。
Tri-P(個人様向けパソコン通信サービス)終了について【お知らせ】というレターが入っていました。
2005年1月31日をもってサービス終了だそうです。
数年来の懸案事項(大げさすぎ)である解約手続きがやっとできると思った矢先、先に向こうが倒れてしまったようです。
ちょっと残念。
利用頻度も低く、あまり良いユーザーではありませんでしたが、お疲れさまでした。